主な研究グループ

基本的な方針

ある症状に対して、薬物療法という生物学的治療と精神療法という非生物学的治療の両方が有効であるという奥の深さが、精神科医療の魅力であり強みです。これは現在の日常臨床でも常に心がけるべきことであり、研究体制の中でも両者をバランス良く共存させていくことが大切というのが当教室の考えです。
全国を見渡すと、近年臨床の精神科学教室においても、ほとんど臨床経験が無く、実験室での基礎研究を主な業績とする講座担当者が生まれているとも聞かれます。臨床家には臨床の中で行うべき研究がまだまだたくさん残されていますし、施設や研究費の面で私立大学が公的な大学や施設に劣るのはある程度やむをえないことです。そこで臨床の教室として臨床が視野から外れない範囲の研究を進めていく方針です。
上記のような方針と卒前、および研修医、専門医教育を考えて、スタッフは精神科臨床における重要な領域を網羅するような各方面の専門家で構成されています。それぞれの領域において「このスタッフに質問すれば最前線の知識が得られる」というような環境がほぼ整っています。

  • アルコール依存症は、日常生活に支障をきたすような飲酒問題(身体的問題、仕事・経済的問題、家族・人間関係の問題、社会的問題、離脱症状など)がありながらも、アルコールを調節して飲むことが困難になった病気です。
    北里大学病院精神神経科では、大学病院の精神科では珍しく、長年にわたりアルコール専門外来を開設しています。外来中心の診療とはなりますが、外来教育プログラムや外来ミーティング、院内AAなども行っております。
    専門医療機関への受診を拒むアルコール依存症の患者さんは多いのですが、当専門外来は大学病院の精神科外来の中で行っていることもあり、病状の比較的早い段階で受診される患者さんが多いのが特徴です。また、複雑酩酊や他の精神疾患(気分障害や認知症など)を併存している患者さんも受診されております。
    外来診療の強みを生かし、患者さんそれぞれの個別性やニーズに応じた治療ゴールや治療法を提供していますので、当グループで学ぶことにより、様々な患者さんに柔軟かつ適切に対応する経験やスキルを身につけることができます。

    <主な論文>

    • 澤山 透、米田順一、白川教人、浦野洋子、伊藤桂子、樋口 進、宮岡 等、白川克之:
      認知行動療法を中心としたアルコール依存症の新入院治療プログラム.精神経誌、106 : 161-174, 2004.
    • Sawayama, T. , Yoneda, J. , Tanaka, K. , Shirakawa, N. , Sawayama, E. , Higuchi, S. , Miyaoka, H. :
      Assessing multidimensional cognitions of drinking among alcohol-dependent patients: Development and validation of a drinking-related cognitions scale (DRCS). Addict. Behav. , 34 : 82-85, 2009.
    • Sawayama, T. , Yoneda, J. , Tanaka, K. , Shirakawa, N. , Ikeda, T. , Sawayama, E. , Higuchi, S. , Miyaoka, H. :
      The predictive validity of the Drinking-Related Cognitions Scale in alcohol-dependent patients under abstinence-oriented treatment. Subst. Abuse Treat. Prev. Policy, 7:17, 2012.
    • 澤山 透:
      アルコール使用障害の病態と治療:心理社会的治療.Current Therapy、28 : 118-124, 2010.
    • 澤山 透:
      アルコール離脱せん妄の現在の考え方と治療.精神科治療学、28 : 1163-1172, 2013.
    • 澤山 透:
      アルコール依存症の心理とその支援.こころの科学、182:32-36, 2015.
    • 澤山 透:
      実地内科医の診療と専門医との連携の実際と留意点 精神科疾患:アルコール依存症.Medical Practice、32:1307-1312, 2015.
  • わが国では精神疾患による教員の休職者数が高止まりの状況が続いています。教員は感情労働という職務特性を有し、長時間労働等、労働環境も厳しい状況にあります。教員のメンタルヘルス不調は、教員自身に影響を及ぼすのみならず、児童・生徒、未来のある子どもたちにも影響を及ぼすという点で、労働者の精神保健領域においても重要な領域と言えます。北里大学医学部精神科学は2008年から相模原市教育委員会からの委託を受け、教員のメンタルヘルス支援に関与してきました。現在、復職支援の効果検証、メンタルヘルス不調の予防的介入方法開発と効果検証を実施しています。

    公表文献
  • 本会は、2006年に発足し、大学院医療系研究科産業精神保健学の田中克俊教授を中心に運営されています。毎月第4月曜日を原則開催日とし、以降定期的にされています。
    昨今、企業における長期休職者の大部分がメンタルヘルス不調ということもあり、産業精神医学の分野は大変重要な領域の一つです。
    職域におけるメンタルヘルスの問題に対する支援者側のポジションには、精神科主治医、企業内の嘱託精神科医、産業医の立場からの関わり方があり、大学病院、精神科病院、総合病院での勤務だけではこれらの知識を習得することは困難であると思われます。
    本会では、立場の異なる医師が出席し、求められる法的知識、ケーススタディ、最新のトピックスの共有などを通じてこの分野でのスキルアップを目指していきます。

    過去の研究会におけるトピックス(一部抜粋)
    ・ストレスチェック制度をどう扱うか
    ・労災保険について
    ・教職員など専門職の復職支援
    ・障害者雇用促進法
    ・産業医の職務
    ・民事訴訟と産業医、主治医
    ・各企業における復職支援について
    ・EAPサービス など
    研究会の連絡担当者
    富士電機株式会社 産業医 鎌田直樹
  • 児童・思春期部門では、相模原市寄附講座で第一の課題とされている“臨床のできる児童精神科医の育成”を最優先としています。これは、本邦においてなかなか解決しない児童精神科医の圧倒的な不足への一助にもなるでしょう。育成活動の中には、児童精神科医を目指す若手を対象とした児童精神医学全領域を網羅する通年の連続講義が含まれます。この育成活動を通じて蓄積された臨床実践に役立つ知識は、出版物などで発信しています。それは、EBMに沿いつつも、ときに見落とされがちな臨床実践に必須の基本事項の再確認に役立つでしょう。
    また、専門性偏重の弊害を避けることも重視し、一般精神科医や心理臨床との交流を保っています。その一部として、大人の発達障害に関わる臨床研究を実施し、児童精神科医と一般精神科医の協働や、大人の発達障害の心理査定に関する知見を公表しています。臨床活動では、発達障害のみならず、内因性精神障害、神経症圏、児童の心身症などへの専門的な対応を行っています。
    また、地域貢献として、児童相談所、発達障害支援センター、精神保健福祉センター、そして、スクール・カウンセラーにも関わっています。児童精神医学の分野に興味があり、幅広い活動への意欲がある若手と一緒に勉強できることを期待しています。

    • 井上勝夫『テキストブック児童精神医学』(日本評論社)

      井上勝夫
      『テキストブック児童精神医学』
      (日本評論社)

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    • 井上勝夫『テキストブック児童精神科臨床』(日本評論社)

      井上勝夫
      『テキストブック児童精神科臨床』
      (日本評論社)

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  • 幻覚・妄想状態や興奮状態を呈したり、抑うつ状態などの精神症状を認める患者の対応においては、内因性精神病を念頭におくだけでなく、症状精神病を中心とする身体的疾患による精神症状かどうかを鑑別していくことが臨床においては重要と思われます。精神症状の背景にある身体疾患の中には、生命予後を左右する疾患も含まれていることもあるため、急性期の患者においては疾患の鑑別には注意を要します。特に初期の精神症状・身体症状の評価に関しては、その後の治療の方向性に大きく関わっていくため非常に重要です。
    当科においては、外来の患者数も多く、全国の大学病院の中でも病床数の多い急性期病棟があるため、臨床において経験できる症例数もとても豊富といえます。特に精神科病棟へ入院が必要となる急性期の症例は、栄養状態が悪い場合や感染症を合併している場合もあるため注意が必要です。
    臨床経験豊かな指導医やスタッフの医師とともに、様々な症例を経験でき、特に身体症状との鑑別が必要な急性期の患者への対応に関しても勉強できる環境にあります。また、大学病院内における身体科との連携も充実しており、とてもお互いがコンサルトしやすい環境といえます。
    臨床研究に関しては、自殺企図に関連した身体合併症、身体疾患に起因が考えられる精神障害に関して、他科(身体科)との連携に関した研究を中心におこなっております。関連した研究会・学会に関しても、幅広く参加しており、研究発表を定期的におこなっております。当教室は、精神科医としての臨床能力を高めていく上でも、精神科医として学ばないといけない身体合併症に関して、勉強できる環境が充実していると思われます。

  • 北里大学医療衛生学部健康科学科精神保健学および北里大学大学院医療系研究科睡眠医科学の教授である田ヶ谷浩邦が担当しています。現在、所属する精神科医はいませんが、博士課程大学院生1名、修士課程大学院生3名で、睡眠・睡眠障害に関する調査・研究を行っています。最近は、色覚と睡眠特性・睡眠障害の関連についての調査などを行っています。睡眠障害に関する系統的講義を行っている医学部はほとんどありませんが、北里大学医学部では精神神経系の1コマを睡眠障害にあて、田ヶ谷浩邦が講義を担当しています。また、北里大学大学院医療系研究科では、博士課程、修士課程ともに睡眠医科学の講義も行っており、多くの大学院生が履修しています。
    また、北里大学病院精神神経科で睡眠障害専門外来を週1日田ヶ谷浩邦が担当しています。日本睡眠学会睡眠医療認定医を目指す研修生(医師)が陪診することがあります。対象疾患は、睡眠関連呼吸障害、睡眠関連運動障害、中枢性過眠症、睡眠時随伴症、概日リズム睡眠・覚醒障害が中心です。不眠障害は患者数が膨大な上、原因が多岐にわたりますので、身体疾患、精神疾患、治療薬による不眠障害の場合は一通りの診察・検査の上で元の医療機関・主治医による治療継続をお願いしています。北里大学病院では、現在睡眠障害の専門的検査は睡眠時無呼吸症候群診断のための在宅で行う簡易睡眠ポリグラフィしか実施できませんので、さらに専門的検査が必要な場合は、他医療機関に検査を依頼しています。

  • 神経生理研究グループは、田ヶ谷と齋藤を中心に、脳波と神経伝導検査を中心に研究しており、日常業務としては年間約1900件の脳波を判読している。北里大学病院は日本臨床神経生理学会認定研修施設であり、同学会認定医と認定技術師が複数在籍する、全国でも数少ない病院の一つである。また、北里大学病院は神奈川県内で最も多くのてんかん患者の診療に携わっており(日本経済新聞による)、データが豊富で、学内外との共同研究が活発である。

    <近年の業績>

    • 齋藤正範:
      頭皮上脳波と内的体験.臨床神経生理学 33(4), 208-214, 2005.
    • 齋藤正範、鈴木淳子、姫田久美、押田好美、宮岡等:
      パニック発作の諸症状と関連する発作間欠期の脳波.
      臨床神経生理学 35(2-3), 77-82, 2007.
    • Friess E, Modell S, Brunner H, Tagaya H, Lauer CJ, Holsboer F, Ising M:
      The Munich vulnerability study on affective disorders: microstructure of sleep in high-risk subjects.
      Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci. 258(5):285-91,2008.
    • 齋藤正範:
      覚醒度を脳波で把握する.
      精神神経学雑誌 110(9), 843-848, 2008.
    • Saito M:
      Internal tempo during the interictal period in patients with temporal lobe epilepsy: Dependence on the laterality of epileptiform discharges. Epilepsy and Seizure 7(1), 37-44, 2014
    • Saito M, Tagaya H, Ohshima A, Kumagai Y, Miyaoka H:
      EEG abnormalities among 'normal' applicants for phase 1 clinical trials of an agent that could possibly act on the central nervous system. Kitasato Med J 44(2), 189-94, 2014
    • 齋藤正範:
      最低限知っておくべき脳波判読.てんかん診療スキルアップ.
      医学書院、東京、2014、76-105.
    • Watanabe S, Yamamori S, Otsuka S, Saito M, Suzuki E, Kataoka M, Miyaoka H, Takahashi M:
      Epileptogenesis and epileptic maturation in phosphorylation site-specific SNAP-25 mutant mice.Epilepsy Res 115, 30-44, 2015
    • Ishizue N, Niwano S, Saito M, Fukaya H, Nakamura H, Igarashi T, Fujiishi T, Yoshizawa T, Oikawa J, Satoh A, Kishihara J, Murakami M, Niwano H, Miyaoka H, Ako J:
      Polytherapy with sodium channel?blocking antiepileptic drugs is associated with arrhythmogenic ST-T abnormality in patients with epilepsy. Seizure 40, 81-87, 2016
    • Matsunaga Y, Tagaya H, Fukase Y, Hakamata Y, Murayama N, Kumagai Y, Kuroyama M:
      Effects of zolpidem/triazolam on cognitive performance 12 hours after acute administration.
      Sleep Med. Jul 2. pii: S1389-9457(18)30321-6,2018
  • 精神病理研究グループは、宮岡、齋藤を中心に、記述精神病理学と力動精神医学一般を広く研究しており、研修医(病棟医)の教育のために単行本の抄読会を開催するほか、大学院生の教育として書籍の翻訳に取り組んだことがある。操作的診断基準を使う前提として、記述精神病理学と力動精神医学の素養は不可欠であり、本学出身の精神科専門医が診断の正確さで定評があるのは、平素のケースカンファレンスなどで精神医学的な考え方を涵養されるからである。志ある多くの先生方の参加を歓迎する。

    <近年の業績>

    • Masanori Saito, Yoshiki Matsui, Yoshimasa Otani, Hitoshi Miyaoka:
      Liepmann's phenomenon during benzodiazepine withdrawal. Am.J.Psychiatry 162(4),811, 2005
    • 宮岡等、齋藤正範(監訳):
      統合失調症の前駆期治療.
      中外医学社、東京、2006.
    • Masanori Saito, Hitoshi Miyaoka:
      Augmentation of paroxetine with clocapramine in panic disorder. Psychiatry Clin.Neurosci. 61(4), 448, 2007.
    • Masanori Saito:
      The short-term effect of the recent great earthquake on the general functioning status of psychiatric patients near tokyo. Am.J.Psychiatry 168(6),649, 2011.
    • 本田洋輔,廣岡孝陽,齋藤正範,宮岡等:
      世界没落体験を呈した反復性うつ病.
      東京精神医学会誌 28, 1-6, 2013
  • 当院は精神科救急病棟を有し急性期治療を主として担っておりますが、入院治療から地域移行や地域生活支援が促進される取り組みにも努めております。具体的には「多職種連携チーム(別項:精神科クリニカルパス)」、「精神科リハビリテーションチーム」、「アウトリーチチーム」の3部門があります。「精神科リハビリテーションチーム」では、患者さんの地域で安定した生活の継続・支援のために、作業療法を軸として「生活向上プログラム」を行っております。疾患学習、ストレス対処法、コミュニケーションスキルなど様々なプログラムをグループディスカッションあるいは講義形式で実施しております。
    「アウトリーチチーム」においても、患者さんの地域生活支援や再入院の減少を目的に、訪問看護を軸とした活動を行っております。また、訪問診療を開始するための取り組みも進めております。いずれの活動も「多職種連携チーム」で開発した院内連携パスともリンクさせることで、患者さんに早期から提案・介入が行えるように工夫しています。

  • 電気けいれん療法は精神科医療における重要な治療法の一つである。北里大学病院は措置入院等を受け入れる神奈川県精神科救急システム基幹病院の一つである。2010年以降は精神科救急入院加算病棟に認定され、さらに急性期医療に力を入れている。その中でECTの担う役割は大きい。
    当院でのECTは1986年開院当初から施行が記録されているが、2000年以降は手術室にて麻酔科医による全身麻酔下電気けいれん療法(修正型電気けいれん療法)に取り組むようになった。現在では年間約300~400件のECTは全例全身麻酔下で短パルス波治療器を用いて施行している。また多職種で編成されたECT会議を立ち上げ、患者さんに安全で効果的なECTを施行することを目的に、日々の業務の改善、定期的なデータの集計・分析・公表、ECTパスやマニュアルの作成などに取り組んできた。当院は日本総合病院精神医学会のECT研修認定施設であり、また独自にECTナース基準を設置し、若手医師を含むスタッフの教育・育成も行っている点が特徴である。また研究活動にも力を入れており、症例報告、観察研究、介入研究などの成果を学会や論文で発表している。

    <修正型電気けいれん療法パスフォーマット>

  • 動機づけ面接とは、クライエント中心療法的(非指示的で受容および共感を主とする)であると同時に、面接者が意識的に特定の変化の方向(健康、回復、成長など)を目指して面接を行う対人援助のためのカウンセリング技法で、変化に対する動機と決意を強化するための協働的な対話法です。元々は、アルコールや薬物依存の援助のために開発されましたが、現在は、他の精神疾患の治療、一般医療、健康促進分野、ソーシャルワーク、更生施設関係など、多くの領域に幅広く適用されております。
    北里動機づけ面接研究会では、講義と演習を交えながら、初学者でも、動機づけ面接を理解・実践できるように、毎回テーマを決めて、下記の日程で研修会を開催しております。対人援助専門職の方(医師、看護師、保健師、ソーシャルワーカー、心理士など)であれば、北里大学以外の方でもご参加できます。ご興味のある方は、k-psy@kitasato-u.ac.jpまでご連絡ください。

    <北里動機づけ面接研究会>

    ※新型コロナウイルス感染症対策のため現在休会中
    • 日時:毎月第2月曜日18時30分~20時00分
    • 場所:北里大学精神科作業療法室
    • 講師:澤山 透(相模ヶ丘病院院長、前北里大学医学部精神科学講師)
    • 参加費:無料
    • テーマ:以下のとおり
      第1回 動機づけ面接の精神
      第2回 動機づけ面接の4つのプロセスと中核的スキル~聞き返し(その1)~
      第3回 聞き返し(その2)
      第4回 開かれた質問とチェンジトーク
      第5回 是認(相手の強みや前向きな言動を見つけて、それについて言及する)
      第6回 サマライズ(要約)~相手が話したことや考えを整理し、まとめる~
      第7回 OARS(開かれた質問、是認、聞き返し、要約)の復習(聞き返し編)
      第8回 OARSの復習(OARSをすべて使って面接しよう編)
      第9回 チェンジトークを捉える・引き出す・強化する(捉える・引き出す編)
      第10回 チェンジトークを捉える・引き出す・強化する(強化する編)
      第11回 不協和への応答
      第12回 維持トークへの応答
      第13回 維持トークを減らし、チェンジトークを増やす
      第14回 動機づけ面接における情報提供・懸念の表明・助言の提供
      第15回 総合演習(その1)~OARSを使って面接する編~
      第16回 総合演習(その2)~ビデオフィードバック・リアルプレイ編~
      第17回 総合演習(その3)~ビデオフィードバック・ロールプレイ編~

    <主な論文>

    • 澤山 透:
      動機づけ面接:面接によって対人援助を円滑に行うために.外来精神医療、17 : 69-72, 2017.
    • 澤山 透:
      動機づけ面接は実際どのようなものか教えてください.Modern Physician、38 : 836-839, 2018.
  • 認知症医療には過剰診断や誤診、薬物療法偏重といった課題があります。介護や福祉を含むケアにも様々な課題が山積しています。私たちは認知症ケアの標準化、質向上、パーソン・センタード・ケアの実現を目標に、現在、抗認知症薬処方の実態調査、家族支援プログラムの開発と効果検証、援助職支援の効果検証を実施しています。認知症疾患医療センターの委託を受けたフィールドの中で、行政、当事者グループと連携し、関係する援助職への教育活動、政策立案にも関与しています。定期的に開催している北里認知症研究会では、多職種が参加し、認知症のある人へ質の高いケアを届けるための、地域に開かれた事例検討の場になっています。

    相模原市認知症疾患医療センター
    • 山本 賢司『精神科領域のチーム医療実践マニュアル』(新興医学出版社)

      山本 賢司
      『精神科領域のチーム医療実践マニュアル』
      (新興医学出版社)

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    • 上田 諭『認知症はこう診る: 初回面接・診断からBPSDの対応まで(ジェネラリストBOOKS)』(医学書院)

      上田 諭
      『認知症はこう診る: 初回面接・診断からBPSDの対応まで(ジェネラリストBOOKS)』
      (医学書院)

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    • 大石 智『Modern Physician 36-10 医師のための認知症の理解と援助』(新興医学出版社)

      大石 智
      『Modern Physician 36-10 医師のための認知症の理解と援助』
      (新興医学出版社)

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    • 大石 智『Modern Physician 37-1から連載「認知症の診断とともに患者さんに伝えたいこと』(新興医学出版社)

      大石 智
      『Modern Physician 37-1から連載「認知症の診断とともに患者さんに伝えたいこと』
      (新興医学出版社)

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  • 当グループはギャンブル障害・薬物依存症をはじめとした嗜癖障害を抱える方々の支援方法についての勉強会、治療プログラムの開発および実施を多職種で行なっています。

    ●KIPP(認知行動療法プログラム)の実施
    毎週水曜日、チームのメンバーが、集団認知行動療法プログラムであるKIPP(Kitasato Izon-shiheki Relapse Prevention Program)を実施しております。このプログラムには、外部アドバイザーとして、依存症回復施設の当事者スタッフにセッションおよび事前・事後の会議に参加していただき、意見いただいています。
    加えて、国立精神・神経センター精神保健研究所薬物研究部のスタッフにアドバイザーとして月1回の参加をしてもらっています。
    依存症・嗜癖障害を抱える方の回復のサポートに興味がある支援職の見学も受け入れています。
    ご興味のある方は、k-psy@kitasato-u.ac.jpまでご連絡ください。
    ●KIPP作成委員会
    当院で実施している集団認知行動療法プログラムであるKIPP(Kitasato Izon-shiheki Relapse Prevention Program)の改定および研究を行う委員会です。KIPPは、覚せい剤の治療プログラムであるSMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)と当教室が2015年に開発したギャンブル障害治療プログラムであるK—GARP(Kitasato-Gambling addiction Recovery Program)をベースに作成した治療プログラムです。様々な嗜癖行動を抱えた方々ができるだけ抵抗なく「問題行動の変容」を目指せるよう、「疾病モデル」や「リラプス・プリベンション」の枠にとらわれずに改定を重ねています。今後もこの方針は変えませんので、一緒にプログラムを育てたい方はお声掛けください。
    ●勉強会
    主にギャンブル障害や薬物依存症に関して月に一回勉強会を行なっています。今後は教室内の他のグループと連携や、地域の民間支援団体や行政機関と連携した勉強会および講演会なども検討していきます。
    ●その他
    嗜癖障害の支援は単一の医療機関だけでは限界があるため、近隣の回復施設や外部の支援職との連携を進めていきます。
    外部で行われる研修会・講演会への出席も可能ですし、地域に向けた講演会の実施もあります。
    2018年度には大半のスタッフが、国立精神・神経医療研究センターや久里浜医療センターの実施する研修会に参加しています。また、2018年4月には外部医療機関、回復支援施設や4つの自助グループのご協力の下、北里大学東病院で「医療・福祉職のための依存症・アディクション講座」を開催し、80名以上の参加者にご出席いただきました。
    KIPP(集団認知行動療法プログラム) 毎週水曜日 セッション15時〜16時半
    事前会議 14時半〜15時
    事後会議 16時半〜
    KIPP作成委員会 KIPP事後ミーティング内で実施
    勉強会 原則毎月第2月曜日 17時〜18時
    講演会・研修会 不定期
  • 〈リエゾン・コンサルテーション〉は、連携、相談の意であり、「精神科リエゾン・コンサルテーション」とは、他診療各科との連携を行うための精神科の学問、診療分野である。
    昨今の医療の進歩は高齢化社会を生み出しているが、その高齢化は、身体的問題の広がりをもたらし、同時にその身体的問題に付随する精神的問題も広がっている。身体的問題に対して不安を呈するCaseや、身体的問題そのものが精神症状に結びつくものもある。また精神疾患の患者も、高齢化に伴い、さまざまな身体的問題を抱えていくようになる。精神科リエゾン・コンサルテーションチームは、これらの精神・身体双方の問題を抱えたCaseに対応するべく、北里大学病院で活動しているチームである。
    年間400~500例の依頼があり、夜間せん妄、うつ状態、不安、不眠など、また、精神疾患にて通院加療中の患者が身体的問題により入院した際の、精神症状、薬物調整などにつき、他診療科医師と連携し対応している。
    緩和ケアチームには、精神医療を担当する医師が存在しなければならないことが定まっているため、そのチームへの参画も〈リエゾン:連携〉医療の重要な役割となる。当院の緩和ケアチームは、身体の苦痛緩和を担当する麻酔科医を中心に、我々精神科医と、がん専門の看護師、薬剤師のほか、臨床心理士、管理栄養士、理学療法士など異例なほどの多職種が参加し、週1回のカンファレンス、回診にて多面的な評価、対応を行っている。当然必要に応じ、精神科医、心理士が個別に対応するCaseもある。
    そのほか移植医療におけるレシピエント、ドナーの心理的状況の評価・対応等も行っている。
    精神科リエゾン・コンサルテーションにおいては、精神科一般のみならず、身体疾患や各種薬物のことまで、幅広い知識が要求される分野である。と同時に、今後の精神科医療に、その知識は欠かせないものとなる。当教室では、その研鑽に必要なフィールドが用意されている。