相模原市寄付講座「地域児童精神科医療学」の紹介

児童写真_IMG_0993 re.jpeg

  1. 相模原市寄附講座「地域児童精神科医療学」
    <趣旨>
    2010 年4月1日、相模原市(以下、市)は政令指定都市に移行し、児童相談所・精神保
    健福祉センター・発達障害者支援センターを独自に設置したことなどにより、市が所管する
    事業は急激に増大し、人材や役割の更なる充実が求められていた。その中でも、特に児童精
    神保健においては価値観の多様化、人間関係の希薄化など本邦に共通した社会環境の変化、
    および、発達障害の診断と支援の需要の増大に伴った児童精神科領域の医療ニーズが著し
    く増加し、本領域の医療体制の充実が喫緊の課題となっていた。
    市においては、精神医学的・心理的な困難を抱えた児童・思春期の患者を対象とした医療
    機関はきわめて少ない状況であり、児童に係る精神科医の不足は困難を極めていた。市のこ
    うした児童精神科医療の課題を解決するには、児童精神科医師の確保、診療体制の拡充、お
    よび専門医の育成、効率的な地域連携の構築が必須であったため、2012年4月1日、北里
    大学医学部精神科学内に本寄附講座が開設された。
    <寄附講座の教育・研究内容 >
    (1)地域における児童精神科医療体制の充実および向上に向けた講座
    (2)市の児童精神関係相談機関等に対する児童精神科医による助言・指導
    (3)小・中学校等における児童精神保健の連携強化と助言・指導
    (4)地域児童精神科医療学等に関する教育活動
    (5)地域における児童精神科医療に関する研究
    2. スタッフ紹介
    講座責任者:稲田 健 医学部精神科学主任教授(兼務)
    講座研究者:神谷 俊介 医学部精神科学助教(兼務)
    共同研究者:星野 俊弥 特任助教
    鈴木 龍太郎 特任助教
    中島 康輔 特任助教(公認心理師)
    3. 研究内容
    □ 「発達障害児の親への CARE プログラム介入効果の脳機能と唾液中ホルモンを用いた
    客観的検討」(北里大学大学院医療系研究科との共同研究)
    概要)親子交流療法と効果の高いペアレントトレーニングプログラムをベースとしたCARE
    (Child Adult Relationship Enhancement :親子の絆を深めるプログラム)を発達障害児 (自
    閉スペクトラム症、注意欠如・多動症)とその親にも適用できるプログラムに修正し、その
    効果を検証する。
    □ 「注意欠如・多動症治療薬の使用実態と適正使用に関する研究」
    概要)小児のADHDに対する治療薬の処方状況に関して、医療情報データベースを活用し
    て使用実態調査を行い、更に、エビデンスと実態との乖離の有無を検証して、適正使用につ
    いての検討を行う。
    4. 診療体制
    北里大学病院精神神経科児童外来:常勤医:3名、非常勤医:2名(令和6年度)
    5. 地域連携
    ◎相模原市の児童関連機関への医師派遣先
    <福祉>
    ・陽光園/発達障害支援センター:医療相談
    ・児童相談所 :カウンセリング強化事業,厚生相談,一時保護所児童相談所医,医療的機能
    強化事業(診察・相談/相模はやぶさ学園へのスーパービジョン)、ファミリーグループ
    カンファレンス事業
    ・精神保健福祉センター:思春期・ひきこもり特定相談
    <教育>
    ・青少年相談センター :スクールカウンセラーを対象とした事例検討会 ・地域医療連携コン
    サルテーション
    ・児童精神科相談事業:市内小中学校の教職員を対象とした電話・来所相談