教室紹介
多彩な教育スタッフと
ケースカンファレンス
当教室は大学病院としては異色の精神科スーパー救急病棟、精神科アウトリーチチームを配備し、急性期から慢性期まで幅広く対応可能な診療を行なってきました。
2020年3月までは主に北里大学東病院を診療の場としてきましたが、同院の閉院に伴い、2020年4月からは北里大学病院本院に新病棟を設立し、精神科入院治療からリエゾン診療まで総合的に対応できる環境を整えてリニューアルしました。
精神科臨床医の育成には特に力を入れています。神奈川県精神科救急システムの基幹病院として措置入院などの急性期対応のみならず、精神鑑定、医療観察法の鑑定入院も受け入れています。また、外来診療は1日300名を超える一般精神科外来に加え、児童精神、依存症、てんかん、認知症、睡眠障害などの専門外来、さらに精神科アウトリーチも行っています。
高度専門医療を提供すると同時に市民病院としての役割を果たしているため、多彩な経験を積むことができ、2年間の後期研修を行えば、精神科医として一生の間に接する症例のうち8〜9割は経験できる診療実績と指導体制を整えています。
研修の主な舞台である病棟では、主治医、指導医、専攻医で構成されるチーム体制で診療にあたります。そのため、毎週のチャートカンファレンスや日々の診療を通して、主治医や指導医により、基礎的事項から専門的事項にわたって丁寧な指導を受けることができます。また、系統的に精神医学全般の知識を学ぶ専攻医向けの小講義に加えて、一つの症例を取り上げて皆で議論するケースカンファレンスを月に1回行なっています。ケースカンファレンスでは担当医からのプレゼンテーション、主任教授による患者面接のあと、若い医師から上級医まで意見を出し合います。ケースカンファレンスは専攻医のみならず、若手からベテランまでお互いに腕を磨き合う、教室員全員にとって重要な研鑽の場となっています。さらに、昨今のコロナ禍においては、他の医療機関や他職種のエキスパートをお呼びしてweb勉強会も開催されています。北里大学病院での研修を必須とし、それに教育関連病院である精神科病院や総合病院での研修を組み合わせて行なっています。
つまり、当教室で研修することで「どの施設に行っても、自信を持って臨床を実践できる」精神科医になることができます。当教室に通底する「精神科医としての修練の初期には、大学という複数の専門医がいる場所で重症例を学ぶことが不可欠である」という考え方が体現された環境と言えるでしょう。
また、教育スタッフは精神科のほぼ全領域を網羅する専門医をそろえ、気軽に相談できる体制が整っています。こうした特徴もあり、専攻医は他大学出身者が多くを占め、教室内はいつでも自由闊達な空気が流れています。